2013年09月02日

London Pigeon’s Art Views Vol.2

さて今日は前回紹介したDalstonから2マイル程南に飛んだWhitechapelの市場でのんびりしていると、目の前を長い赤い足の人間のお兄さんが歩いているのが目に入ります。自分の鳥足も赤いので何となく親近感を抱いて後をつけていくことに。


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Whitechapel Gallery外観


お兄さんは美しいタイル張りの建物のWhitechapel Galleryに吸い込まれて行きました。私も後に続きます。


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The Spirit of Utopia Exhibition


窓から中を覗くと中央奥ではろくろをまわしている人たちがいて陶芸教室か何かやっている様子。また写真には写っていませんが右隣には“Sanatorium”と書かれたサインが掲げられ、カウンセリングルームのような幾つかのセクションに区切られた部屋の前で白衣を着た人たちが受付をしています。


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“Improbable Botany”©Wayward Plants


ところが、中に入ってみるとまず目に入ったのはグリーンハウス!宇宙船の中のようなハウス内では不断草(スイスチャード)が栽培されているではありませんか。緑の葉はほうれん草のよう、赤、オレンジ、黄とカラフルな茎の部分はシャキシャキとセロリのようで美味しいんだなあなんて考えながら眺めていると、右にはトマト、左にはイチゴの栽培が。それぞれのハウスの下には月の満ち欠けの表示がついています。更に小学生のコメントとイラストの描かれた冊子が横に置かれ読んでみると、“ロボットさんへ、ぼくの予想では、ぼくのスイートコーンは満月に蒔いたのが一番よく育つと思います。 だって満月は新月よりずっと明るいから。” はて何のことやら?


実はこれ、アートプロジェクトで作品はロンドンを拠点とするWayward Plantsと地元の小学校とのコラボレーション作品 “Improbable Botany”(不可思議な植物学)。哲学者ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)の提唱したバイオダイナミック農法から刺激を受けた作品。この農法は、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農法で、太陰暦に基づいて種まきや収穫などを行い、また牛の角や水晶粉などの特殊な調剤を利用する有機栽培の一種。 天文学と植物学に魔法の要素の加わったこのプロジェクト、子供達の想像をかきたてるものであることは間違いないでしょう。


今回のこの企画展のテーマはThe Spirit of Utopia。前記の陶芸教室をギャラリーに持ち込んだ作品はシカゴを拠点とするTheaster Gatesの “Soul Manufacturing Corporation”、“Sanatorium”はアートと心理学を組み合わせた予想外?の治療を来場者に提供するメキシコ人アーチストPedro Reyesの作品。展示はまだまだ上の階にも続きますが、どうやらスタッフの一人がハトの私に気づいた様子。腰に付けた無線に手をかけたので、怖い警備員に追い出される前にギャラリーを離れることに。


Whitechapelといえば19世紀末の切り裂きジャック事件の現場、チャールズ・ディケンズのオリヴァー・トゥイストの舞台になったイーストエンドの貧しい地域としてよく知られていますが、現在では金融街シティにより近い移民の多いエキゾチックなエリアとして急速に開発の進んでいる地区です。そんななか、1901年創立のWhitechapel Galleryはロンドンで最も古い公営のアートギャラリーであり、 スペイン内戦に反対し1938年にピカソのゲルニカを展示、その後も国内外の質の高い現代美術作品を紹介してきたギャラリーでもあります。入場料は大抵無料。また、2009年にリニューアルした際には美味しいレストランも伴設オープンしたのでこちらもおすすめです。


それではまた次回!



posted by ハト_pigeon at 13:39| Comment(0) | 日記

2013年07月16日

London Pigeon’s Art Views Vol.1

はじめまして。東ロンドンに住むハト(pigeon)です。私の仲間のハトは世界に310種もいて北極圏や南極大陸を除くほぼ世界全域に住んでいます。乱獲により18世紀に絶滅した飛べない巨鳥、ドードー鳥も人間の分類によるとハト科なのだそう。人との関わりも深くハトは聖書からの影響で平和の象徴である反面、古くから軍事産業に関わっており、2000年以上前既にローマ軍が使用、英国では第二次大戦中、25万羽ものハトが空軍に雇われメッセンジャーとして活躍したとか。


さて話をロンドンに戻すと、私たちハトはロンドンのような都会にも沢山住んでいて、ハトはロンドンで見かける最も一般的な鳥だという人さえいるほどです。“The London Pigeon Wars“(Patrick Neate 2003)という本をハト英語を駆使して書いた人もいます。確かに私たちは平気で道路も歩きますし、食べ物のあるお店やレストランにも開いていれば勝手に入っていきます。とはいえこの前Rioおじさん(ハト)が道端に落ちていたチップス(フライドポテト)に目がくらみ、ごちそうになっている最中に片足を赤い二階建てバスに引かれているのを目撃したので、気をつけないと、とは思うんですけど。


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DalstonのRidley Road Market。食品、日用品中心のローカル市場


今日は天気がよかったので朝からの近所のDalstonの市場で日向ぼっこをしていると、友人のRidley(ハト)が、近くで人間が建物の壁を垂直に歩いたり窓から逆さ吊りになったりしているから見にいこうよといいます。 不思議に思って早速飛んでいくと!

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Dalston House © Leandro Erlich

お、女の子が危ない!


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Dalston House © Leandro Erlich


実はこれ、アート作品。作品はアルゼンチン作家 Leandro Erlich のイリュージョン•インスタレーション、Dalston House ( Barbican によるコミッション)。 地上に横たえられたレプリカの家の上で人々が思い思いのポーズをとっていて、その様子が45度に建てられた鏡のようなパネルに映っていたのでした。レプリカの家は1800年代にこの地区に建てられた典型的なビクトリア王朝時代の連棟住宅を模していて、その多くは第二次大戦の爆撃で焼失してしまったというもの。

現在の東ロンドンは、 移民の多い、またアーティストやアーティスト•スタジオの多い地域としても知られていますが、1960 - 1970年代初頭までは爆破された建物がそのまま取り残されていて、戦後そのものだったといいます。昨年40周年を迎えた英国最大の非営利アーティスト•スタジオ団体、Acme Studios の創始者 Jonathan Harvey によると、その当時ドックの移動により、数多くの倉庫が空になり、ロンドン自治体が大型居住地の建設のためにその一帯の荒廃した建物の取り壊しを計画していたため、自身を含むアーチィストたちがスタジオを借りるチャンスを見いだし、次々と移り住んだのが始まりだそう。一方、昨年のロンドン•オリンピックのメイン開催地域でもあり、ここ10年で一気に開発が進んだため、開発によってスタジオを失ったり、急激な家賃の値上がりで悲鳴をあげて東ロンドンを離れたアーチィストたちも沢山います。

それでも毎日どこかしらでアートイヴェントが出没する、東ロンドン。 本当のところ私はハトなので、アートよりイヴェントについてくるごちそうの方が気になるんですけど、皆さんはアートに興味がおありでしょうから、また何か見つけたらお伝えしますね!



posted by ハト_pigeon at 13:50| Comment(0) | 日記